2011年3月1日火曜日

学びYA 第五回

ラーニングイノベーション論の1年先輩方、class of 2009のみなさんが開いている勉強会に初めて参加してきました。
テーマは、「本社と支社、人材育成の違いと新たな取り組み」について考える。です。


いつものように、慶應MCCに行くと、2009のみなさんが集まっていました。もちろんみなさん同士は良く知っている仲間なのですが、私は知っている顔がちらほら。その中に入っていくのは、ちょっとしたアウェー感がありますね。


教室の後ろには、今回のテーマにちなんで、オリオンビールと沖縄ハイボール、そして何故かメキシカン料理。
2009の皆さんは、幹事団を結成して、チームワーク良く分担して場を作っていました。学びの場作りの気合の入れようが違いますね。すごい!


オープニングでは、アウェー?のclass of 2010から参加の4名が自己紹介をしました。
軽く笑いをとりつつ、沖縄で取り組まれている人材育成を、これまた2009の卒業生のかたが、ビデオ出演してインタビューに答える形で紹介してくださいました。

その中で特に、最後に言われていたことが印象に残っています。


「本社にしかできない学びの支援ってなんだろうか?」


東京からすると、沖縄は一つの異文化だと思います。異なる文化の人がもう一つの文化の人のためになることってなんでしょうね。変化を与えるきっかけにはなるかもしれませんが、その変化が本当によかったのかどうか?誰のために良い変化なのか?というのを小さな変化を起こしたことによってどのように全体に影響を及ぼしていくのか、良く考える必要があるなと思いました。それでなければ、本当によいと思ってやったことが、実はよくなかったことになりかねません。


個人の視座でも、企業の視座でも、「何を学んで、何を学習棄却して、何を学ばないか」という選択が重要になってくるような気がします。


自分達のありたい未来を考えて、それに対するレバレッジを自らの行動のなかに見出していく。システムの中で、ありたい未来を逆に回す要素を素早く見つけ、対処する。やっぱりそういうことになるんでしょうか。

2011年2月17日木曜日

あなたの利き脳はどっち?

ラーニングイノベーション番外編、朝倉しおりさんプロデュースの右脳の右側で描け体験会に参加してきました。


絵を描くことを通して、右脳を活性化させるということで、ベティ・エドワード博士の提唱する方法を日本で紹介してくださっている斎藤先生に慶應MCCに来ていただいて体験会が開かれました。


脳の右側で描けと言う本は、半年前ぐらいから知っていて、いくつかは試しにやってみたのですが、一つ一つに時間がかかるので、のんびりやろうと思っていました。でも、なかなか自分だけでやるのは難しいですね。何でだろうかと思っていたら、体験会でそれが明らかになりました。


体験会では、初めに脳のお話しをしてくださいます。最も印象に残ったのは、すごい人は脳の全体をオーケストラのように使っているということで、自分もそんな人になりたいという意欲が湧いてきます。


その後、5日間のワークショップの前後でどのように自画像が変わったかという実際の例について、紹介してもらえます。そのときにすごいなと思ったのは、沢山あるスライドの全部について、何の説明書きも書かれていないのに、このひとはどういう特徴があって、どうなったのかとかどういうことがあったとか、先生が細かく覚えているということでした。脳を活用できている人はこうなるのかと改めておどろきでした。会社の文字数の多いプレゼンとは大違いです。


体験しなければ分からないと思ったのは、その後にピカソのストラヴィンスキーの絵を逆さまに描くという体験でした。この絵は以前書いたことがあるのですが、一人ではダメだと思ったのは、書いた後に先生が一人ひとりフィードバックをしてくれます。自分へのフィードバックだけではなく、一緒に参加していた皆へのフィードバックがとってもいいんです。本当にいろんな人がいて、その人の性格が絵に表れるなということが良く分かります。


このフィードバックの体験をするには、5日間のワークショップに出るしかないと思いました。ということで、早速申し込みました。


プライベートの都合上、8月になってしまいましたが、いまからとても楽しみです。

2011年2月15日火曜日

らーにんぐばー えっくす



いつものラーニングバーではなく、アカデミックな研究会の場であるラーニングバー-Xに初めて参加してきました。


今回のテーマはワークプレイスラーニングの政治哲学、管理職研修へのコーチング導入・実践プロセスということで、Workplace Learningの研究の中では、多く行われている定性的な調査をもとにした研究の視点から、成果主義導入以降に多くの企業で取り入れられてきたコーチングについての内容でした。


90年代以降の経済的な問題、社会的な流れの文脈の中での企業における成果主義の導入と、その後の成果主義の弊害、それに対処するための管理職へのコーチング導入と続く訳ですが、ここでふと疑問がおこります。


なぜコーチングだったのか?本当にコーチングで良かったのか?


この研究会の場では、それが良かったのか悪かったのかではなく、アカデミックな視点でということだったのですが、どうしても頭から離れません。

もし、成果主義導入の弊害に本当に対処するためだったのであれば、成果主義を見直せば良いし、コーチング以外の道も沢山あったはず。どうして多くの企業でコーチングという道を選んだのか?


日本の特色なのか、極端から極端に走りすぎるという特徴があるような気がします。白黒は嫌いといいながら、知見者が、「バブル崩壊の時代を乗り切るためには、これからの時代は成果主義だー」といえば、一斉に成果主義に走り、業績が回復しないのは部下のやる気がなくなったからで、それは成果主義の導入の弊害だ、だからやる気を出させて成果を出すためにはコーチングだーと。


いまから考えてみると、一部の知見者と呼ばれている人たちに踊らされてみんな動いているような気がしてなりません。そこにも知見者の生産と、問題解決をするという企業側の消費の関係がありそうです。


そういうことが本当にあったとしても、では元に戻せるのかというと、もとに戻すのは大変なあだと思います。特にそうやって進んでくると、本当かどうか分からない言説があたかも本当のこととしてとらえられているからです。


その考え方を変えるということのほうが困難なのと、元に戻すということを実務家は目的としていないので、問題がない状態にするにはどうすればよいかという最短の方法を考えるわけです。


それが例え、本家のコーチングの理論から外れていたとしても、目的に近づけばそれでいいわけです。コーチングを生産するほうも、どんな形であれ提供できれば良いので、どこを変えれば提供できるか考えます。そしてだんだんコーチングというラベルだけが変わって、日本型コーチングが出来上がります。


発表では、生産者と消費者の駆け引き、政治力学と言われていましたが、消費者からすれば、そんなことは承知の上です。目的にかなっていればよいので、変化は邪道ではなく進化と見えたりします。


話の中で指摘されていた、「効果が本当に図れているのか?」「役立ったという言説と効果の違い」については、まだまだ消費者側がだまされているような気がします。研修直後のアンケートで「満足しましたか?」という指標で研修効果を図った気になっているところがまだまだ多いと思います。


研修ベンダーが作成してくるアンケートは、必ず「満足しましたか?」という項目がトップにきています。生産者からすると、消費者が満足したかがトッププライオリティになるのも分かる気がしますが、そもそも受講生を満足させるために研修をやっている訳ではないので、消費者はもっと賢くならないといけないなあと。


ここ2年ちかく研修ベンダーの会社とおつきあいしてきましたが、ほとんどの会社からは「できます」という話は聞きますが、「出来ません」と聞かないですね。それぞれの会社で強みとしているところはあるはずなのですが、製品で言えば、カメラ屋も車屋も不動産屋もみんなパソコンを取り扱ってますよと言っているようなものです。それはできませんと言ってもらった方がその会社への信頼があがるのにと思いながら、一つでも契約を取れという政治力学がそこでも働いているのでしょうね。



とりとめのない話になってしまいましたが、いつも判断するしないの組織で育ってきた私にとっては、事実だけを見るというのがやはり難しいようです。


ってやっぱり最後まで判断してます。

2011年2月7日月曜日

リンク

先週金曜日の夕方から、大人の学びを考える夕べ!というイベントをやりました。
なんとなく聞いたことがありそうな名前ですが、それはご愛嬌ということで。


今回のイベントの準備から実施後までを通して、本当にいろいろ反省点、学びがあったなと思います。


まず、決めるということ。
ゲストの長岡先生とは11月ぐらいに今回のことをご相談して、実施直前にもう一度お話しをして当日来ていただきました。ほとんどお話しの内容はお任せに近かったのですが、直前の打ち合わせの中でも、実施メンバー間でどこまでのレベルの話にしてもらうか、ゆれていました。本当は、打ち合わせ前に決めていかなければいけなかったのですが、右往左往しながら、最後は私のやりたいところまで話をしてもらうということを先生に背中を押していただきました。

この打合せの時点からすでに反省です。


次に、読みの甘いロジ。
参加してもらう皆様にくつろいでもらう為には、ロジは大切です。特にこういったサードプレイスの場では大事だと思います。ロジの失敗を書き連ねると、

 ・机の配列を事前に考えておかなかったので、当日考えるのに時間がかかり、開始時刻になってもばたばたしていた。
 ・名札を用意していたのに、出すのを忘れていた。
 ・先生のプレゼンのときに、場所を借りているお店の人に照明を消された。
 ・対話のテーマを先生と確認するのを忘れていた。
 ・対談形式にするのか決めていなかった。 
 ・20:00全館消灯になるのが分かっていたのに、実施した場所は対象外だと思い込んでいて、手を打たなかった。
 ・片付けが時間かかりすぎで、懇親会の合流に遅れた。
本当に読みが甘かったとしか言えません。


それから、おたおたしすぎ。
トラブルにはあまり強いほうではないので、落ち着くまで多少のタイムラグがあります。覚悟が足りないというか、腰が落ち着いていないというか、予定調和ではない状況に弱いですね。甘いロジでトラブルがあったときに、とってもおたおたしていたと思います。対談ではないですが、先生と私でみんなの前に座って対談のような形式でやるとは思っていなかったのと、参加者から出てきた質問で私あてのものが一つあったのを先生が見つけて一番に質問をくらってしまったのが本当に意外で本当に反省です。


反省はこれぐらいにして、当日はあまり考えられなかったのですが、数日経って、今回のことは今年度1年間学んできたことがリンクするイベントだったなと思っています。

5月からのラーニングイノベーション論での、学習の基礎理論と越境学習、熟達とイノベーションについては、今回先生にお話していただいた内容そのものだったのですが、俯瞰してみること、対比してみることで理解が深まったように思えます。

また、高尾先生のインプロのワークショップを受けたり、舞台を見たことで、舞台側と観客側の気持ちが分かり、今回の対談形式で、舞台側に自分が立つことへの覚悟や即興力の足りなさが良く分かったことにつながりました。インプロのトレーニング方法があるということは、普段の即興力を上げるトレーニングもあると思います。あるという前提で、探して鍛えたいと思います。

近藤さんのワークショップでは、やはりインプロに近いモノを感じました。完成させないこと、合わせようと思う気持ちというのは、その場でもっとも大事にしているものをしっかり持つということだと思います。今回はロジ面の読みの甘さでトラブルが多かったのですが、完成していない前提で、その場で大事にしたいことをもっとしっかり持っていたら、行動も変わったかもしれません。


予定調和な世界に居過ぎたかもしれません。今後の私のテーマは、脱予定調和に強くなる、ですかね。

2011年2月2日水曜日

完成させない

慶應MCC、agoraの近藤さんのワークショップが終わりました。

毎回、軽く30分ぐらいおしゃべりをして、それから体を動かすのですが、言葉にほとんど支配されている私は、最初のおしゃべりの時間で、かなり気づきがあります。

例えば、舞台の内容を決めるときに、最初は何も用意していない。言葉や音楽などから受ける感じで決めていくことが多い。
それは、ネタを多く持っているから。


即興演劇も同じような要素を持っていました。
即興演劇は、舞台に上がってからお客様にお題をいただくので、どんな芝居になるのか分かりません。でも、即興演劇の練習というものがあります。それをやりながら、間とか動きとかを身につけていきます。それは、近藤さんが言っていたネタを持っているということ。


実際、近藤さんのワークショップでは振り付けを即興でやっていきます。その瞬間に生まれて、その場限りで消えていきます。もちろん、基本的な動作というものはあるので、それを練習していって、アレンジした動きを作っていきます。


みんなが同じように予定調和な動きをするためには、繰り返しの練習が必要です。でも、わざと直前に振り付けを変えて、それでもみんなが動きをあわせようとする意識のほうを大事にしているとのことでした。


普段の仕事でも同じですよね。いつも状況は違っていて、同じ動きをすることなんて無いし、それでもみんなで協調しないと仕事は出来ません。分野は違えど、やっていること、大事にしていることは同じだなと。いかに即興でみんなで協調する仕事ができるか?そのためのトレーニングというのは人材育成ではどういったことに当たるのか?


少なくとも、これまでの導管モデルの研修ばかりやっていてはダメだということだと思います。導管モデルの研修というのは、いわば、ダンスの動きを紙に書いて、一度だけ説明して、生徒自身がそれですばらしいダンスが踊れるようになったと思い込んでいるようなものです。しかも一日中椅子に座って。


これまで何をやってきたのか考えると、ちょっと恐ろしいですね。でも、近藤さんのワークショップでやっていたことって、研修に置き換えるとどういうことなんでしょうか?体が覚えるまで練習して、自ら動いてみるということに相当することってあまり思い浮かびません。


強いて言うなら、スキル系講座の実践パートぐらいでしょうか。では、スキル系でないものは??
何かつかめそうな気がしますが、もう少し考えてみることにします。

2011年1月27日木曜日

ラーニングイノベーション論@社内 セッション2

ラーニングイノベーション論の最後に、課題があります。自社の未来を作るということで、それぞれの受講者が自社の課題を見つけてきて、企業内人財育成家の挑戦をそれぞれが発表します。


私の宣言は、社内でラーニングイノベーション論をやってみるというものでした。


まずはトライアルとして、セッション1を11月ごろにやったのですが、その後、2週間ごとに定期的にやろうとしていた時間に、いろいろな突発がはいってしまい、今週ようやくセッション2を開くことができました。


本編よりも短くしているので、セッション2のテーマは働くみんなの動機論、モチベーションについて。


テッセイの矢野さんのお話と、山下先生のお話を私から説明して、その後、みんなでダイアログをして、最後は中原先生のラップアップ資料でまとめる、という流れです。


全員で話をしていて思ったことは、自社の部門トップが交代してからの5年間の取り組みと非常に共通している点があるということに参加者が気づくということです。自社の取り組みの中にいるだけでは、なかなか気づきにくいことが、他社の取り組みやアカデミックな視点を通すと、自らの環境を客観視できるということです。


まさに、越境学習の効果。


具体的には「あー、あれってそういうことだったんだ」とか、「これって同じだよね」という発言が沢山出てきます。


自社の取り組みというのは、もちろんそういった種明かしというものは無いのですが、他社の事例の種明かしを通して自ら気づくこと自体、とてもよい気づきと実践のループに入ることができるなと感じました。


個人的な反省点は、モチベーションのセッションを受けたのがずいぶん前になってしまったこともあると思いますが、ピグマリオン効果の意味や、アンダーマイニング効果と言う言葉が説明の途中で出てこなかったことです。リハーサルが足りないというのもありますが、ちょっと忘れすぎです。海馬をもっと鍛えようと思います。


セッション3は知識創造理論の現在。 
かなり忘れてしまっていますが、SECIモデルは外せません。 
ちょっと気合入れて準備します。

2011年1月26日水曜日

ワールドカフェばかり

最近、よく目に付くのがワールドカフェという話し合いの手法を使った対話の場です。まあ、自分でも関わりのあることなので、特に目についているのだと思いますが、こうやっていろんなところで広まってくると、なぜワールドカフェばかりがそんなに広まっているのだろうと不思議になります。


私達が社内でワールドカフェを企画し始めた一年ちょっと前を振り返ると、ごく一部の人達だけがワールドカフェという言葉を知っていて、少しづつ広まっているという感じでした。なので、ワールドカフェがどれくらい全国で行われているかおおよそ把握できるレベルでもありました。


ワールドカフェ自体は、それほど準備を必要としません。参加した人も、手ぶらでふらっとやってきて、対話を楽しんで、それぞれの気付きをもって返ります。


自分達もワールドカフェの場を作ったりしているので、もちろんそれはそれでいいのですが、これだけ広まってくると、本当にそれだけでいいの?と考えてしまいます。


ワールドカフェに出た後に、感想を聞くと、「あー楽しかったです。また来ます」という声が圧倒的に多いです。参加される人達は、どういうことを目的に参加しているのでしょうか。


ワールドカフェの当初の目的には、集合的な知を生み出して、新しい未来を創造するというのがあったかと思います。もちろんそれは、1回2回のワールドカフェで生み出されるものではないのかもしれません。が、本当にそれが生み出されつつあるのか、それとも普段の仕事から一歩離れて、関係者がいないところで息抜きをしているだけなのか(もっともこれがだめだと言うつもりはありませんが)よく見つめる必要があると思っています。


ワールドカフェ以外に、ポジティブアプローチのAIやOSTなど本当にパワフルな組織変革の手法と言うのがいくつかあるのですが、ワールドカフェがなぜこれだけ受け入れられ、他の手法がそれほど広まっていないというのは何故なのか?


もう少し、実践者の私は実践を繰り返しながら、観察者の私は様子を見てみることにします。